血圧が高いから動かないで」は間違い? 高齢者が知っておきたい、数値より大切なこと
2026/06/12
血圧を測るたびに「150を超えた」「160になってしまった」と不安になり、散歩を控え、デイサービスを休み、お風呂もそこそこに……。
そんな生活を送っていませんか? あるいは、ご家族や支援者として「血圧が高いから無理させないで」と心配するあまり、ご本人の活動を制限してしまっていませんか?
実はその「心配」が、血圧そのものよりも大きなリスクを生んでいるかもしれません。
「150/95未満」なら、基本的には動いて大丈夫
まず前提として、日本高血圧学会のガイドラインでは、フレイル(虚弱)や要介護状態にある高齢者に対して、以下のような見解が示されています。
150/95mmHg未満であれば、薬での厳格なコントロールよりも「本人が元氣に動けているか(ADLの維持)」を優先すべきとされています。過度な降圧は、認知機能低下や転倒を招くリスクがあることも明記されています。
高齢者の身体は、全身に血液(酸素と栄養)を届けるために、若い頃よりも少し高めの血圧を必要とすることがあります。一定の範囲内であれば、それは「身体の頑張り」であって、異常ではありません。
頭痛・めまい・頸部の張り・気分の悪さなどの症状がある場合は、無理せず休息し医師に相談を。症状がない(無症状である)ことが、様子を見ながら動ける前提条件です。
「動かない」ことで起きる、恐ろしい悪循環
問題は、数値に過剰に反応して活動を手控えることで起きる「悪循環」です。
動かない生活が続くと、下肢の筋力は驚くほど速く低下します。歩行が困難になり、転倒のリスクが高まります。
活動量が減ると、血流を調節する自律神経の働きが鈍ります。少し動いただけで血圧が急変動し、「起立性低血圧(立ちくらみ・ふらつき)」をかえって悪化させてしまいます。
「動くと血圧が上がるからダメ」という過度な不安は、社会的孤立や活動性の低下を生みます。認知症の進行やうつ傾向を助長することも、医学的に指摘されています。
↓
体力・自律神経が衰える
↓
血圧がさらに不安定に・動けなくなる
これが「負の連鎖(悪循環)」の正体です。「血圧が心配だから動かない」→「動かないから自律神経が衰える」→「ますます血圧が乱れる」という本末転倒な結果を招いてしまうのです。
「動くこと」そのものが、血圧を安定させる
「血圧が高いから動かない」のではなく、「動くことで血圧をコントロールする」のが本来のあり方です。
血管の弾力性を保ち、自律神経を鍛え、血流の調節力を高める——これらはすべて、「動くこと」によってもたらされます。
ただし、「安全に動く」ための注意点も
「動いてよい」という話と、「何でもしてよい」という話は別です。以下のシチュエーションには注意が必要です。
- ⚠️ 冬場の脱衣所・浴室の寒暖差(ヒートショック):急激な温度変化は血管に大きな負担をかけます。
- ⚠️ いきむ排便:息を止めていきむ動作は、血圧を急上昇させます。
- ⚠️ 息を止めるような過度な筋力トレーニング:適度な運動は良いですが、過負荷は禁物です。
これらを避けながら、日常の活動やリハビリ、デイサービスへの通所などを継続することが、安全で賢明な選択です。
「数値の奴隷」にならないで
デイサービスやリハビリの現場でよく見かける光景があります。
朝、家で血圧を測って「今日は高かったから休みます」と電話してくるご利用者様。ご家族から「血圧が高いので無理させないでください」と念を押されるケース。
その「心配」の氣持ちは、とても大切なものです。でも、数値だけを見て判断し、大好きな散歩や趣味、通所を辞めてしまうことが、寝たきりや認知症への入り口(悪循環)になってしまうことを、ぜひ知っていただきたいのです。
大切なのは、血圧の数値よりも「元氣に動ける身体」を維持すること。
過度に恐れて縮こまるのではなく、主治医やリハビリの専門職と相談しながら、正しくリスクを管理したうえで「元氣に動き続けること」を選択してほしい——私たちリハビリここらdayは、そう心から願っています。
ではまた氣の向く頃に
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